繊維製品のOEM生産/ODM生産についての展開方法
(客先BRANDによる受託生産/企画・仕様までも含めた受託生産)
海外生産におけるOEM生産については、大手商社発信のものから縫製業者や生地問屋の製品課などからのものと、多岐に渡っています。
ここでは時系列に沿って、その流れを示していきます。
何を、何処で、どれだけ、幾らで、いつ、どのように、生産するのか?
A.全体概要
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PROJECTを構築するにあたって、関係者間においての信頼度が必要ですが、その役割分担と責任を明確化します。
情報の共有化をどこまで図るのか? |
◆取引形態PROJECT MAP ◆情報の共有化をどこまで図るのか? |
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商品の決定は、その主資材の決定から始まるので、その生地特性を十分に知らしめています。 糸の説明から始めます。 (それによる生地の機能・特徴を把握、また生地の加工剤についても注意) 主資材の生産背景となる生地工場の把握と立ち合い検品の実施の説明を行います。 |
◆糸の説明から始める (神は細部に宿る) ◆立ち合い検品の実施の説明 |
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副資材についても主資材と同様ですが、立ち合い検品を行うことを原則とします。 (煩雑ですが、工場は必ず一度は訪問してその問題点を前もって把握します) |
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4 | 商品の値段を構成する一番は中衣・外衣などでは主資材であり副資材であるので、必ず分析し完全把握を心がけます。 | ◆必ず分析し完全把握を心がける |
5 | 縫製地から近距離は資材の選定の一つの条件ですが、運送COST、第三国も含めた通関事情などを幅広く検索して、品質・納期・値段など幅広く比較検討の上、決定します。 |
◆品質・納期・値段など幅広く比較検 討の上、決定 |
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縫製工場の選定における注意点
上記の各POINTをCHECKしてきれいに整理整頓しているか、論理的な商品製造の流れになっているかをCHECKします。 |
◆初期生産検討会 |
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第三者検品検針。 最近では日系の検品会社はかなりの範囲で進出しています。必ず訪問してこのPROJECTをご理解頂き、検品POINT表にて管理して頂きます。 |
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船会社、乙仲などの指定。 PROJECTの説明をし、情報の共有化を図ります。船会社の指定をすることにより縫製工場からのBOOKING情報が同時に関係先にMAILされ、指定通業者にもMAILされます。このことによりスムースな通関、物流が可能になります。 SURRENDER B/Lの指定。 |
◆BOOKING情報 ◆SURRENDER B/Lの指定 |
9 | 船会社、乙仲などから事前に海外通関事情などを入手します。 | ◆海外通関事情 |
B.契約概念とSCHEDULE
1 | 縫製工場の決定、主資材工場・副資材工場の決定、検品会社・乙仲・船会社の決定を行います。 | |
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◆各工場のMASTER登録 ◆各資材のMASTER登録 (資材MAP・MASTER含む) |
3 | 各資材及び縫製工場の納期、PRICE確定を行います。 | |
4 | 各SHCEDULE表作成及び配布を行います。 | |
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資材の発注を行います。 (発注書原本、CALQ表・CALP表・要尺表・OFFER SHEET・COL MAP・GREENBOX用仕様書Bの配布) |
◆資材の発注 ◆COL MAP |
6 | 最終仕様書A/B/C、生地検品A/B、製品検品A/B、確認意見書、梱包指図書(たたみ方含む)の配布を行います。 |
◆最終仕様書A/B/C ◆生地検品A/B ◆製品検品A/B ◆確認意見書 ◆梱包指図書(たたみ方含む) |
7 | 製品契約書の配布を行います。 | ◆製品契約書 |
8 | 生地のビーカー依頼は事前に済ませて、ビーカー確認はできるだけ発注時に出来るようにします。 | ◆ビーカー確認 |
C.資材の出荷概念
1 | 生地の立ち合い検品A/Bで管理し、副資材についてもこれに準じます。 | ◆生地の立ち合い検品A/B |
2 | DELIVERY DETAILS表、INVOICE、PACKING LIST、SHIPPING INSTRUCTION、SHIPPING ADVICE、SURRENDER B/L、問題点処理表を作成します。 |
◆DELIVERY DETAILS表 ◆INVOICE ◆PACKING LIST ◆SHIPPING INSTRUCTION ◆SHIPPING ADVICE ◆SURRENDER B/L ◆問題点処理表 |
D.製品生産管理
1 | SAMPLE室にて最終確認SAMPLES作成の上、最終確認SAMPLES意見の合格を入手します。 |
◆最終確認SAMPLES意見の合格を 入手 |
2 | 初期生産検討会を実行した上で、生産STARTをさせます。時間の関係から、これは現地で指図を行います。 | ◆初期生産検討会 |
3 | 検品A/B(検品注意点)に基づき、日々検品を実行させます。 | ◆検品A/B |
4 | 裁断報告書を入手し、製品明細に問題がないか検討します。 | ◆裁断報告書 |
E.製品の出荷概念
1 | 工場から検品会社に出荷、その後、検品A/Bに基づき検品検針します。 | ◆検品A/Bに基づき検品検針 |
2 | 工場は事前に船腹BOOKINGで通関準備、同時に船会社からBOOKING情報が関係先にMAILされます。 | ◆船腹BOOKINGで通関準備 |
3 | 検品会社から検品REPORT、検針REPORT、PACKING LISTを入手します。 |
◆検品REPORT、検針REPORT、 PACKING LISTの入手 |
4 | 縫製工場より通関用INVOICE、PACKING LIST、SURRENDER B/Lを入手します。 | |
5 | PACKING LISTから製品出荷残数明細に転記し、残管理を実行します。 | ◆製品出荷残管理 |
F.輸入通関
1 | 輸入通関依頼書、INVOICE、仕様書A、暫定8条付属書、申告書などを提出の上、通関します。 | ◆輸入通関依頼書 |
2 | SHIPPING SAMPLEを入手して、一部納品前SAMPLEとして使用します。 | |
3 | 商品引き渡し、伝票発行します。 |
注意事項
CHINA PLUS ONEは、どうしても私達が獲得して行かなければならない道です。ただ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなどは資材の問題があり、中国などから生地、裏地、芯、付属などを持ち込まなければなりません。 商業戦略的に多くの資材を中国に頼らず、供給地を探っていかなければなりませんが、現時点では上海周辺(呉洲、常熟、無錫など)ならびに東莞のような地域から生地、付属の多くを頼らざるを得ません。今後、製品の縫製地はもちろん、資材の供給地も多様なものになって行かざるを得ません。 このような時、複数の国をまたいだ取引はより複雑になっていってしまいます。過渡期の対策として、役割分担をはっきりさせて、所有権の移転を色々と考え、商品RISKをできるだけ減らし、通関する場所でINVOICE COMBINEやB/L COMBINEの方法を取りながら、縫製工場にはできるだけSIMPLEになるように書類を整えていく方法を考えなければなりません。FTAも考え、色々なロジックを組んで行かなければなりません。 |
物事を考える時、個別分析して全体に戻り鳥瞰図で、もう一度その個別分析を眺めるといった相互の考え方が必要です。 今日の経済的、政治的困難のなかでもう一度柔軟で冷静な考え方に立ち戻りたく思います。 (鳥瞰図) |